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イットクカップ(最終章)

納竿の正午に近づくにつれて雨は止んだが風は勢いを増す。気力、体力ともに削られてあきらめムードが島に漂う。もう駄目かと思ったその時、イットク氏の竿が弧を描く。この当たりは鯵ではない。河豚でもない。竿先をコンコン叩く、そうチヌ独特の当たり。海中から白銀の魚体が波に揺られながら少しずつ近づいてくる。この状況下でついにこの男がやりやがった。目標達成である。しかし、彼の仕掛けが常識を無視したものだった。ウキフカセで開始したのに釣った時の仕掛けは中通しの重りでハリスは10cmのブッコミ仕様であった。
小生と石ロックがそんな仕掛けはナンセンスだ。そんなチヌの釣り方は認めない。と負け惜しみを言うとイットク氏は本当に当たり前のことを当たり前に言うようにこう言った。
(ここからはプロジェクト●風に)
イットク氏「私は常識で物事を考えることは否定しません。なぜなら常識は培ってきた知識から生まれるものでその知識を高めたことは素晴らしいことだからです。しかし、その常識の枠に囚われていては困難な状況を打破することはできないと思うのです。何かを成し遂げるときはあらゆる可能性を追求し、天にも祈る思いで努力すること。そうすれば今まで表面張力で耐えていたコップの水が次の一滴を注ぐと溢れ出すように。卒業式に悲しみを堪えて耐えていた涙が耐え切れず瞳から零れ落ちるように突然変化が現れるのです。」
イットク氏のこの言葉にみな固まった。
1人の若手従業員が言った。「もう一度、水素エンジンのバルブシステムを見直しましょう。ここで諦めたら涙は溢れませんよ。みんなで一緒に感動しましょう。」
第一技術部員の顔つきが変わった。
その後、国内初の宇宙ロケットエンジンの製作に成功したイットク製作所が押しも押されぬエンジンメーカーに成長したことは周知の通りである。
今でもイットク氏の常識に囚われない、そして決して諦めない精神は後輩たちに受け継がれているという…
(●ッドライトー♪●ールライト♪夢はーまだ、おわらーないー)
第1回 イットクカップここに終了いたしました。第2回?もお楽しみに!!!!
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